配線ノイズは、製造過程で課題となりやすく、製品化する前に問題を解消する必要があります。配線ノイズを防ぐためには、EMCとよばれる対策部品を活用するのが有効です。ここでは、EMC対策部品を供給している企業をいくつかピックアップしましたので、それぞれの企業ごとの特徴や展開する製品などについて解説をしていきます。
配線ノイズを抑える際に有効な対策法
配線を行う際は、電磁ノイズが起きないようにすることが大切です。例えば、電線の付近に通信機器や電気機器などが置いてあると、ノイズが発生するケースがあります。ノイズが発生してしまうと、機器の誤作動を招いたり、通信機器で障害が起きたりする恐れがあります。
ノイズを防止するためには、いくつかの方法があるので、それぞれ解説します。
電磁除去フィルターを活用してノイズが起きないようにする
電磁除去フィルターは、ノイズ対策に有効です。配線を流れる電流のなかで電磁ノイズの原因だけを取り除くことが可能です。
具体的には、電力において入力側・出力側の間にフィルタをおき、グラウンドにノイズを流してあげることでノイズが発生しないようになります。
またその他には、ノイズ源のある方へ跳ね返す方法・エネルギーを吸収する方法もあり、どちらもノイズが発生しないようにすることができます。
シールド材でノイズの影響を受ける部分を覆う
ノイズによって影響を受けている電子機器がある場合、シールド材で覆ってあげることでノイズの影響を受けないようにさせることが可能です。
ノイズの影響を受けている箇所だけ覆う場合も効果があります。
ノイズが起きにくいよう処理されたケーブルを使用する
フィルタやシールドに加え、同じく対策を行いたいものとしてノイズ発生が起きにくいケーブルを活用するというものです。シールド処理がされていれば、ノイズによる影響は大きく下がり、配線も安定します。
また、安定したグランウンドへ接続することも重要です。グラウンドは、回路を正常に動作させるために必要で、グラウンドに生じるインピーダンスが低くなるいように接続してあげることで、大きなノイズ対策が実現できます。
EMC対策部品とは?
ここまで配線ノイズの対策法について解説してきましたが、ノイズ対策を考える上でEMC対策部品は欠かせません。ここでは、EMC対策部品とはどういったものなのか、また用途についてもあわせて解説をしていきます。
EMC対策部品はノイズ対策のためのもの
EMC対策部品は、ノイズ対策に有効な電子部品です。EMCとは、Electro-Magnetic Compatibilityの頭文字をとっており、日本語に訳すと電磁環境両立性となります。
EMCは、大きく2つに大別することができます。一つはEMIとよばれる電磁干渉で、機器自体が発生させる電磁ノイズを規制するためのもの、もう一つがEMSとよばれる電磁的感受性で、機器が受けたノイズによって動作障害が起きないようにするためのものです。
規格を見ていくと、国内規格ではJIS C61000で、国際規格ではIEC61000と定義されています。
電気回路の設計段階では、ノイズがどれだけ発生しているのか、またどのくらいノイズに耐えられるのかを予測するのは難しいというのが実情としてあります。
製品を試作し、動作してはじめてわかることが多いのです。製品の開発のフローでは、設計、試作、評価、生産といった流れが一般的で、評価のタイミングで測定してはじめてノイズの状況について知ることができます。
EMC対策部品はどのように使われるのか?
EMC対策部品は、前述したEMIの場合とEMSの場合において使用されます。EMIは、機器事自体がノイズを出して、他の機器に悪影響を及ぼさないよう規制することを指し、EMSは、外部の機器から発せられるノイズによる影響で誤作動などを生じさせないように規制することを指します。
私たちが日常的に使用している家電製品などはほとんど対象となっており、開発段階でEMC試験が行われ、基準をクリアできなかった場合に対策部品として使われます。
EMC対策部品を供給している企業
EMC対策部品についてここまで解説しましたが、ここからはEMC対策部品を供給する企業について紹介します。それぞれの企業ごとの特徴や製品について見ていきましょう。
株式会社電研精機研究所
電研精機研究所は、1960年に創業し、東京都東久留米市に所在する、1960年の創業以来独創的な製品の開発を行い、大規模な電気機器メーカーへの供給実績もある会社です。
この会社は、ノイズ防止技術のスペシャリストと自社からも謳っており、創業当初から向き合ってきたノイズ対策について、お客さまが抱えているノイズトラブルといった課題を解決に導いてくれます。
ノイズ対策の製品においては、EMI(電磁波障害)を防止するための製品を中心に製造。ノイズカットAVRとよばれるノイズ遮断交流自動定で圧装置をはじめ、ノイズカットトランス、ノイズカットCVCF、ノイズカットUPSなど幅広く展開しています。
積水テクノ成型株式会社
積水テクノ成型は、1962年に創業した会社で、積水化学工業株式会社出資の100%子会社です。
展開している製品は、ノイズ対策のためのEMC対策部品をはじめ、クロスウェーブとよばれるプラスチック素材の貯留材やプラスチック製のコンテナ、環境用品、車輌部品など、多岐にわたります。
展開しているEMC対策部品では、近年の自動車製造における課題としてEMC対策および放熱対策が取り上げられており、車載用電装部品メーカーに向けて製品を供給しています。
株式会社トーキン
トーキンは、1938年に創業し、宮城県に所在する電子機器メーカーです。トーキンの強みは、素材から製品まで一貫して生産ができるという点にあります。トーキンによる技術によって、デジタル社会の進化に大きく貢献しています。
展開するノイズ対策製品には、SMDデバイスやEMCフィルタ、チョークコイルインダクタ、トランス、ノイズフィルタなど多岐に渡ります。
また、電子機器から生じる放射ノイズを抑制するためにバスタレイドとよばれるシート状のノイズ対策部品も開発・製品化されています。
岡谷電機産業株式会社
岡谷電機産業株式会社は、1939年に東京都で創業し、ノイズ対策製品や、サージ対策製品、照明製品などを取り扱っている電気機器メーカーです。創業から70年以上もの歴史があり、これまで数多くの製品や技術を生み出し、事業拡大を実現するとともに日本の産業を支えてきました。
この会社が展開しているノイズ対策製品には、ノイズサプレッションキャパシタやスパークキラー、ノイズフィルタなど、電磁ノイズによって機器に起こりうる誤作動の防止やEMI規制に対応した製品を多く取り揃えています。
双信電機株式会社
双信電機株式会社は、1938年に創業し、東京都港区に所在する老舗の電子機器メーカーです。この会社では、材料・プロセス開発技術、設備開発技術、回路設計技術を核の技術として捉えており、お客さまの要望に沿ったさまざまな製品を展開しています。
展開している製品も多岐にわたり、パワーエレクトロニクスの分野では、ノイズ測定や診断、対策を行ってもらえるとともに、ノイズフィルタ、フィルムコンデンサなどがあり、情報通信分野では、カプラや積層誘導体フィルタ、マイカコンデンサなど幅広くラインナップしています。 特にノイズ対策における製品については、ノイズフィルタを代表に、リアクトルコアやサージアブソーバ、ノイズ対策用三相交流コンデンサ、ノイズ対策用貫通型コンデンサ/フィルタなどが挙げられます。